ならみおダイアリー

27歳で会社を辞めて、地元山梨県都留市にUターン。地域おこし協力隊 / 古民家ゲストハウスオーナーをしています。

置かれた場所で咲く、ということ / おばあちゃんのこと

■置かれた場所で咲く、ということ
 

畑の野菜たちが一斉に芽を出した。

畝から飛び出して元気に生えているかぶを
そっと掘り出して畝の真ん中に植え替える。
そこに人間の姿を重ね合わせたりする。
 
置かれた場所で咲くということ。
私たちのしていることは、実は杞憂でしかなく
ちゃんとかぶも人も、その人がその人の力で生きる力を持っている。
きれいになってほしいとか、ここで育ってほしいとか、枠組みを決めているのはこちら側で。
 
でもきっと間引きしなかったら、いつか弱いかぶは枯れてしまうだろう。
だからきっとこれでよかったのだ。
 
答えなんてなくて、その時々に「これ」って思ったことを
素直にやって、あとあと正解にしていくことが「責任」なのかもしれないな
 
信じる。見守る。支える。委ねる。
相変わらず難しいテーマだなぁ、私にとって。
 
■おばあちゃんのこと
 
先月末から、実家にいたおばあちゃんが老人ホームに入った。
もうだいぶ前からアルツハイマーが進んでいて、
でも私のことはまだギリギリわかる。
 
父方のおばあちゃん。
かつては小学校の先生で、自転車でそこらじゅうを走り回っていた
「ちゃりんこ先生」と呼ばれていた。
生徒や親御さんたちからも慕われ、明るく活動的な性格は市中の皆から慕われ
定年退職後も市の活動や合唱団の運営、教育委員会・委員長も務めるなど
バイタリティに溢れていた。
 
同じく小学校の先生だったおじいちゃん。
51歳のとき、突然退職して学童保育の指導員になった。
私が物心つく頃にはいつも家にいて、
学校から帰ってくるときにはいつも軒先でタバコ吸っていたっけなぁ。
星にすごく詳しくて、お母さんが毎年1月、おじいちゃんの誕生日に「天文年鑑」買ってたのが懐かしい。
流星群の日には家の隣の空き地にストーブ出して、近所のみんなで寝っ転がって見ていたっけ。
すごく頑固で、決めたことはとっととやってしまって、家族からやたらひんしゅくを買う。
多趣味で器用なんだけど、そういう人との関わりの部分では、不器用な人だったなぁ。
 
 
おばあちゃんの方に話を戻そう。
おじいちゃんの死から、およそ3年。
すっかりかつてとは様子が変わってしまった、おばあちゃん
今では家や施設を脱走して、徘徊してしまうほどになった。
きっと外に出たいんだろう。
でも、色々と分からなくなってしまう。
辛いんだろうな。でも辛いっていうことさえも、忘れてしまうのだろうか。
 
周囲から期待されて、賞賛されてずっと生きていたから
弱みやできないことを人に見られることをとにかく嫌っていた。恐れていた。
 
きっと人前では「完璧な自分」でいたかったのだろう。
病院に連れ出していた母が、おばあちゃんをよく知る人たちから後ろ指を指されて
根も葉もない噂を流されることもあったという。
 
日に日に弱っていく、東京に逃げ込んでくる頻度が増えた母が心配だったし
おばあちゃんが私のことをわからなくなってしまう前に、花嫁姿でも見せてあげたい
そんなきもちも少なからずはあった
 
でもそんなことよりも、隠しようのないそのままのおばあちゃんに
ある意味「かえっていく」その様子を見聞きしていて
ああ私にも同じ血が流れているのだなぁ、ということを強く深く実感して
ほんとうの自分をしっかりと生きよう、と思ったことも
都留に帰った理由としては大きい、実は。
 
ひとに弱みを見せることへの恐れ
よくわからないプライド
それ以上に純粋に、まちをよくしたい、人の役に立ちたい、という思い
まだうまく言葉にしきれないけど
それらが間違いなく私のコアにあって
おじいちゃんおばあちゃんから間違いなく受け継がれている、なにか
それをしっかりと捉え、扱えるようになったその時に
きっと今温めている事業は実を結ぶのだと思う
 
 
大学生で就職活動中だった時、はじめて私が
教師にならずに、東京で会社員として働くということを実家に表明しに行った翌日
おばあちゃんから受け取った手紙をお守りにしている
 
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「人のために」そう涙ながらに語るあなたの姿を見て
頭をがーんと打たれたような思いがしました
おばあちゃんも同じ気持ちだったなぁって思い出したよ
「教育」の仕事とはかくあるべきで、
 あなたにもその思いが受け継がれているということを知り、嬉しくなりました。
おばあちゃんはこれから、あべこべに歳をとっていこうと思っているよ
幾つになっても、学び気づきは途絶えることはありませんね
ほんとうに良い思いをさせてもらったよ、ありがとうね
 
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私はどこから来て、どこへ行くのか
そんなの誰にもわからないけれど
今はただ
この私の中に流れる血と、聞こえてくる前兆とに
素直に従って生きていきたいと思う
一歩一歩。