ならみおダイアリー

27歳で会社を辞めて、地元山梨県都留市にUターン。地域おこし協力隊 / 古民家ゲストハウスオーナーをしています。

観光とは、光を観ること。

 

大切なことは、山の上の藍染め職人から教わった


都留市と秋山村の境目、雛鶴峠のふもとに暮らす藍染職人、佐藤文子さんの工房にひさしぶりに訪問。

 

藍と共に暮らし、 暮らしを基盤としてその延長線上に仕事を置く文子さんの生活スタイルに触れて、ここ数週間の自分の忙しさを改めて反省する。


もっとシンプルに、豊かに生きていきたかったよなぁ、私。

帰り際にいつも文子さんは「またね〜」と優しく温かくハグして見送ってくれる。


わたしはこういう、文子さんみたいな、一対一の関係というか、もっと身近な人との関わりを大切にしたい。たくさんの人が注目してくれて、有名になっていくこともありがたいのだけれども、それ以前の自分の暮らしのこと、身近な人達との関わり…足元のことがおろそかになってはダメだと思う。日常の暮らしにちゃんと腰を据えてそれらをこつこつと積み重ねていく姿勢を忘れないでいたい。
そんなこと文子さんはひとことも言わないのだけれども、こうしてお会いするたびにいつも、私は勝手に背筋が伸びている。

 

 

観光とは、「光を観る」こと。 

 

めまぐるしくアウトプットとインプットを繰り返しながら、
わたしの今の仕事のキーワードとなっている「観光」という営みを
自分なりにどう捉えているかを、再考している今日このごろ。


特に思い出したのが、坂爪圭吾さんのこの記事。
彼のブログの中でも私はこの記事がとくに好き。

 

ibaya.hatenablog.com

 

"観光とは、ガイドブックに掲載されている場所を巡ることではなく、ひとやものやことを通じて「光を観る」ことなのだと思う。光を観るためには、必ずしも海外まで行く必要もなければ、誰も踏み入たことのない秘境の中まではいらなければいけないというものでもない。光を観るものは、いま、ここにある、人間の心だ。”

 

"ひとのこころに光を観た時、きっと、その場所はひとつの『観光地』になる。光は、自分と、自分の人生を肯定する。涙は、自分の濁りと、自分の汚れを浄化する。光を観る時、ひとの温もりに触れた時、こころの中にある冷たいカタマリが溶け出して、流れ出してくるものが涙になる。非日常の中にあるものだけではなく、日常の中にもたくさん転がっているはずの、光を、涙を、ひとりの人間のこころの動きを、しっかりと捉えていきたいと思う。"

 

 

 

観光の、本質。 

 

先週訪問させていただいた、大分県杵築市に本社を構えるジャパン・トラベル・カンパニー(JTC)のCEO、ポール・クリスティ氏もまさにそんなことを言っていた。

ポールさん・JTCの活動はこちらの動画に詳しい。
30分ほどのものだが、インバウンド・観光に関心のある方にはぜひ見ていただきたい。

 


大田村

 

そんなポールさんに先日、大分県杵築市までお会いしに行ってきた。

 

 

築170年の古民家をリノベーションして作られた本社オフィス前にて。
一番左がポールさん。市役所のリーダーたちと、ばんちょと、今回の視察旅行をアサインしてくださった富士ゼロックスの地方創生営業部の方々と共に。
 

オフィスの中はこんな感じ。
日本人だけでなく、アメリカ・台湾・オーストラリアなどからも人材を採用。
30名もの雇用を生み出し、移住・定住促進にも一役買っている。
(この日の翌日にはなんと、ポールさんの紹介で杵築市長との面会時間もあった。)

 

 

ポールさんの自宅兼オフィスで語った濃密な時間は、とても刺激的だった。
16年前、仙人みたいな暮らしを夢見て「なにもない」杵築市(旧大田村)にきたこと。
山を買い、畑を買い、荒れ果てていた土地を整備し、本社の軒先には石を積む。
音が聞こえるんじゃないかって思うくらい、コツコツ、コツコツ…
積み上げてきて今があるということが、痛いぐらいによく感じられた。


アンチを生み出すほどの人数が、そもそも村にいない。
ポールさん家族を迎えてくれた近所の老夫婦の、素朴で温かい関わり。
「なにもない」田舎に、コツコツ、コツコツ。信頼の石を積み、城を築く。

 

日本の素晴らしいところは?と聞かれて「日本人」と即答するポールさん。
とてもチャーミングな反面、ツアーづくりに対する情熱は気が遠くなるほど強い。
日本人よりも、日本人らしいかもしれない。

 

そんなポール・クリスティCEOが、2/7〜10の4日間、今度は山梨県都留市に滞在する。
滞在中はフィールドワークとして、都留市の観光資源をトレジャーハンティング。
最終日の10日午後には、ここでの成果を講演でお話いただく予定。

 

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一方的な講演会スタイルではなく、後半には参加者同士・講師を交えて対話をすることのできる時間も設けている。終了後には懇親会も。市内の方はもちろん、市外の方も参加可能なので、この機会にぜひ。

 

「観光の本質」を語りつくし、未来を作っていく1日になることを意図して。